Gravity Sphere
タグ:Card of the Day, Gravity Sphere, MTGシングル, レジェンド, 岩SHOWCard of the Day -今日の1枚- 2015/12/18
Gravity Sphere
重力を操れるキャラクターは強いという法則、多くの創作物に当てはまると思う。炎や冷気を操れると聞いてもファンタジー要素が強すぎて現実味がないが、重力となると我々が日々実際に感じ、捕らわれているものであるだけに説得力が増す...と思うのは僕だけだろうか。何千度の炎・何万ボルトの電流・絶対零度...と言われるよりも、重力10倍!の方がヤバさが伝わる。地面がベコッとクレーター状に凹み、身動き一つも出来ず全身の骨がバキバキと砕ける...こんな力を持っていて雑魚キャラというのもありえない話だ(実は某アメコミ界にはまあまあいるが)。マジックでも重力を操れるカードは強力に違いがない!
重力/Gravityに関する1枚、ということで《Gravity Sphere》をご覧いただこう。すっかり作られなくなったカードタイプ、"ワールド・エンチャント"である。なんてことはないエンチャントではあるのだが、"伝説"のような特殊タイプとして"ワールド"を持っている。ワールドを持つパーマネントはすべてのプレイヤーの戦場を併せて1枚しか存在できず、それらが複数戦場に存在する状況になった場合、戦場に存在した期間が最も短いものを残して他は墓地に置くという処理を行う。その名の通り世界を覆うエンチャントであり、カード自体の能力も全てのプレイヤーに平等に働くものとなっている。初出は『レジェンド』で、この《Gravity Sphere》もその第一陣に名を連ねている。
このエンチャントは全世界の重力を強化し、すべてのクリーチャーから飛行を失わせる。赤はドラゴンという大型フライヤーを擁する色だが、クリーチャー全体で見た場合、飛行は苦手とする色である。そして、当時は赤と仲の悪かった色・青と白がそれらを得意としていた。つまり、すべてのクリーチャーが飛行を失おうが赤のクリーチャーの大半には関係のない話で、敵対する色を同じ土俵に引きずり込むことが出来ればクリーチャーの質が悪かった青は圧倒・白とも互角の勝負が出来る、そういう意図で作られたカードだろう。
これさえあれば《幽体の行列》と《軍族童の突発》のカードパワーは対等になる。《石の壁》で《セラの天使》を抑えることも出来る。《地震》で飛んでいようがいまいが一網打尽だ。このように赤にとっては割と革命をもたらす1枚、ではあるのだが...そもそも赤なら飛行持ちは焼いてしまえば良いのでは?と思ってしまうのは自然な反応なので安心してほしい。実際、飛行を失わせることしか出来ないため、もっと直接的な対策カードを使用した方が良いケースは多いだろう。ただ、たった1枚で以後何体フライヤーが出てこようがそのすべてを地上に縛り付けることが出来る、というのもこのカードぐらいにしかできない。ニッチなカードはそれだけで価値があり、需要があるのだ。
イラストはパッと見たところSphere=宝球の姿を見ることは出来ない。それが作用して重力が強化された戦場の様子が描かれているようだ。凹んだ地には砕けた石柱と、地に縛り付けられた、翼を持ったクリーチャーの姿が。これが某雷神ソーを思い起こさせる姿で、なんとも好きな1枚なのである。再録禁止カードなので、今後入手難度は上がり続けることだろう。